会社からお金を借りる借用書の書き方|トラブルを回避する法的効力と今すぐ使えるテンプレートを専門家が解説

会社の福利厚生の一環である従業員貸付制度などを利用し、会社からお金を借りる状況は決して珍しくありません。

その際、口約束だけで金銭の貸し借りを行うと、後に「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があります。そうした事態を未然に防ぎ、貸主である会社と借主である従業員の双方を守るために不可欠なのが「借用書」です。

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会社からお金を借りる際の借用書の重要性

借用書は、単なる形式的な書類ではありません。金銭の貸し借りがあった事実を証明し、返済に関する約束事を明確にするための法的な意味を持つ重要な文書です。

この書類を適切に作成することで、会社と従業員の間の信頼関係を維持し、円滑な貸付と返済を実現できます。

法的効力とトラブル回避

借用書が持つ最も重要な役割は、金銭消費貸借契約が成立したことを証明する証拠となる点です。

万が一、返済が滞るなどのトラブルが発生し、裁判に発展した場合、借用書は貸付の事実を証明する強力な証拠として機能します。

また、借入金額、返済方法、利息、返済期限といった具体的な条件を明記することで、双方の認識のズレを防ぎます。

これにより、「返済は給与から天引きされると思っていた」「利息はないと聞いていた」といった後の誤解や紛争を回避できます。

会社側のメリットと従業員側のメリット

借用書の作成は、貸主と借主の双方にメリットをもたらします。

会社側のメリットとしては、まず会計処理上の透明性が確保される点が挙げられます。貸付金として資産計上する際の根拠となり、税務調査などにも適切に対応できます。

また、従業員の退職時に返済が残っている場合など、法的な手続きを進める際の明確な根拠資料となります。これにより、債権回収のリスクを低減させることができます。

一方、従業員側のメリットは、契約内容が書面で明確になることです。これにより、会社から一方的に不利な条件を提示されたり、後から返済額を不当に引き上げられたりするリスクから身を守れます。

返済計画も立てやすくなり、決められたルールに則って誠実に返済を進めることで、会社との良好な関係を維持することにも繋がります。

借用書に記載すべき必須項目

法的に有効な借用書を作成するためには、記載すべき必須項目がいくつか存在します。これらの項目を漏れなく、かつ正確に記述することが極めて重要です。

以下に、会社 から お金 を 借りる 借用 書を作成する上で最低限記載すべき項目を解説します。

1. 表題(タイトル)

書類の性質を明確にするため、「借用書」または「金銭消費貸借契約書」と大きく記載します。

どちらの表題でも法的な効力に違いはありませんが、「金銭消費貸借契約書」の方がより正式で法的なニュアンスが強くなります。

2. 貸主と借主の情報

誰が誰にお金を貸したのかを特定するために、貸主(会社)と借主(従業員)の情報を正確に記載します。

貸主:会社の正式名称、本店所在地、代表者の役職と氏名を記載し、社印(角印)と代表者印(実印)を押印します。

借主:従業員の氏名、住所、所属部署などを記載し、本人が署名し、実印を押印することが望ましいです。

3. 借入金額

貸し借りした金額を明記します。改ざんを防ぐため、アラビア数字(例:1,000,000円)と大字(例:金壱百萬円也)を併記するのが一般的です。

金額は契約の根幹をなす部分であり、最も重要な項目の一つです。

4. 金銭の受領日

借主が実際に会社から金銭を受け取った日付を正確に記載します。「上記の金額を正に受領いたしました」といった一文と共に日付を記すことで、金銭の授受が完了したことを証明します。

5. 返済方法

どのように返済していくかを具体的に定めます。一般的には「給与からの天引き」または「銀行振込」が考えられます。

給与天引きの場合は、その旨を明記し、労使協定の確認も必要です。銀行振込の場合は、振込先の金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、名義人を正確に記載します。

6. 返済期間と返済日

いつからいつまで、どのように返済するのかを明確にします。

分割返済の場合は、「令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、毎月〇日限り、金〇円を〇回に分割して返済する」のように、返済開始月、終了月、毎月の返済日、月々の返済額、返済回数を具体的に記載します。

7. 利息

利息の有無と、ある場合はその利率を年利で明記します。利息を設定する場合、利息制限法の上限金利(元本に応じて年15%~20%)を超えないように注意が必要です。

福利厚生の一環として無利息で貸し付ける場合は、「利息は無利息とする」と明確に記載します。

8. 遅延損害金

返済が遅れた場合のペナルティとして、遅延損害金について定めます。利率は年率で記載し、これも利息制限法の上限(上限金利の1.46倍)の範囲内で設定する必要があります。

この項目があることで、返済遅延を抑制する効果が期待できます。

9. 期限の利益喪失条項

これは、借主が特定の契約違反を犯した場合、分割返済の権利(期限の利益)を失い、残額を一括で返済する義務を負うことを定める条項です。

例えば、「返済を2回以上怠ったとき」「借主が会社を退職するとき」といった条件を記載します。これは貸主である会社を保護するために非常に重要な条項です。

10. 作成日

この借用書を作成した日付を記載します。貸主と借主の署名・押印欄の近くに記載するのが一般的です。

会社からお金を借りる借用書のテンプレート

以下に、今すぐ使える基本的な借用書のテンプレートを提示します。実際の状況に合わせて、適宜内容を修正してご使用ください。


借用書

【壱百萬】円也

上記の金額を、本日、貸主【〇〇株式会社】より借主【従業員氏名】が確かに借用いたしました。

第1条(貸借)
貸主は借主に対し、本日、金【1,000,000】円を貸し渡し、借主はこれを確かに受領した。

第2条(返済方法)
借主は貸主に対し、前条の借入元金を、令和【〇】【〇】月から令和【〇】【〇】月まで、毎月【25】日限り、金【〇〇】円ずつ(全【〇】回)を、借主の給与から控除する方法により分割返済する。

第3条(利息)
本契約における利息は、【無利息】とする。

(利息有りの場合:本契約における利息は、年【〇】%とする。)

第4条(遅延損害金)
借主が本契約に基づく金銭債務の履行を怠ったときは、支払期日の翌日から支払済みに至るまで、当該債務額に対し年【〇】%の割合による遅延損害金を貸主に支払うものとする。

第5条(期限の利益喪失)
借主について次の各号の一つにでも該当する事由が生じたときは、貸主からの通知催告がなくとも、借主は当然に期限の利益を失い、直ちに元利金の残額全額を貸主に返済しなければならない。
(1) 分割金の支払いを【2】回以上怠ったとき。
(2) 貸主である会社を退職するとき。
(3) 他の債務により、差押、仮差押、仮処分を受けたとき。

上記契約の証として、本借用書を2通作成し、貸主・借主が各1通を保有するものとする。

令和【〇】【〇】【〇】

(貸主)
住所:【会社所在地】
名称:【会社名】
代表者:【代表取締役 〇〇 〇〇】 印

(借主)
住所:【従業員住所】
氏名:【従業員氏名】 印


借用書作成時の注意点と法的ポイント

テンプレートを基に借用書を作成する際にも、いくつか注意すべき法的ポイントがあります。これらを理解しておくことで、より安全で確実な契約を結ぶことができます。

収入印紙の要否

金銭消費貸借契約書は、印紙税法上の課税文書に該当します。そのため、契約金額に応じた収入印紙を貼付し、消印する必要があります。

例えば、契約金額が1万円以上10万円以下なら200円、10万円超50万円以下なら400円、50万円超100万円以下なら1,000円の収入印紙が必要です。

印紙を貼り忘れても契約自体の効力は無効になりませんが、税務調査などで発覚した場合は、本来の印紙税額の3倍の過怠税が課される可能性があります。

連帯保証人の設定

貸付金額が高額になる場合や、借主の信用力に不安がある場合、会社は連帯保証人を立てるよう求めることがあります。

連帯保証人は、借主本人と同等の返済義務を負います。つまり、借主が返済できなくなった場合、貸主は直ちに連帯保証人に残額全額の返済を請求できます。

連帯保証人を設定する場合は、借用書に連帯保証人の署名・押印欄を設け、本人に契約内容を十分に理解してもらった上で署名してもらう必要があります。

公正証書化のメリット

特に高額な貸付の場合、作成した会社 から お金 を 借りる 借用 書を公証役場で「公正証書」にしておくことを検討する価値があります。

公正証書に「強制執行認諾文言」を付けておけば、万が一借主が返済を怠った場合に、裁判を起こすことなく、直ちに借主の給与や財産を差し押さえる強制執行の手続きが可能になります。

これは貸主である会社にとって非常に強力な債権回収手段となり、トラブルを未然に防ぐ抑止力としても機能します。

まとめ

会社からお金を借りる際の借用書は、単なる手続き上の書類ではなく、会社と従業員の双方を法的に保護し、無用なトラブルを回避するための重要な契約書です。

借入金額、返済方法、利息、期限の利益喪失条項といった必須項目を漏れなく正確に記載することで、その法的効力は確かなものとなります。

借用書を作成する行為は、貸し借りの条件を互いに確認し、合意するプロセスそのものです。これにより、双方は安心して契約を履行することができます。

会社側は従業員の生活を支援する福利厚生として、従業員側は会社の厚意に感謝し、誠実に返済義務を果たすという、良好な信頼関係を維持するためにも、適切な借用書の作成は不可欠です。

本記事で解説したポイントとテンプレートを参考に、それぞれの状況に応じた適切な借用書を作成し、円満な金銭貸借関係を築いてください。高額な貸付や複雑な条件が伴う場合は、弁護士などの専門家に相談することも賢明な選択です。

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