確定申告で返ってくるお金を最大限にする方法|還付金の計算方法から申請手続き、いつもらえるかまでを解説
確定申告は、税金を納めるためだけの手続きではありません。払い過ぎた税金を取り戻し、還付金を受け取るための重要な機会でもあります。
この記事では、確定申告で返ってくるお金を最大限にするための具体的な方法を、各種控除の解説から申請手続き、還付金の受け取り時期まで、網羅的に解説します。
確定申告で還付金が受け取れる仕組み
会社員や公務員の場合、毎月の給与から所得税が天引きされています。これを源泉徴収と呼びます。
源泉徴収される税額は、あくまで年間の所得を見越した概算額です。そのため、年間の所得が確定した際に計算される本来の税額との間に差額が生じることがあります。
この差額を精算する手続きが、年末調整や確定申告です。
年末調整では、生命保険料控除や地震保険料控除など、基本的な控除しか適用できません。
一方で、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用しない場合)など、年末調整では対応できない控除を利用するためには、確定申告が必要です。
確定申告で各種控除を正しく適用することで、課税対象となる所得(課税所得)が減り、結果として所得税額も減少します。
この再計算された所得税額が、すでに源泉徴収された税額よりも少なければ、その差額が「還付金」として手元に戻ってくるのです。
つまり、還付金を増やすためには、自身が適用できる控除を漏れなく申告することが最も重要なポイントとなります。
還付金を最大限にするための所得控除
所得控除は、所得の合計額から差し引くことができる金額です。所得控除の種類が多く、金額が大きくなるほど課税所得が減り、税負担が軽くなります。ここでは代表的な所得控除を紹介します。
医療費控除
医療費控除は、年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。
対象となるのは、納税者本人だけでなく、生計を共にする配偶者や親族のために支払った医療費も含まれます。
治療費や薬代はもちろん、通院にかかった交通費(公共交通機関)や、医師の指示による特定の医薬品の購入費も対象になります。
控除額の計算方法は、「(実際に支払った医療費の合計額)-(保険金などで補填される金額)- 10万円」です。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
医療費の領収書は提出不要ですが、5年間の保管義務があるため、大切に保管しておきましょう。
また、特定の市販薬を購入した場合に適用できる「セルフメディケーション税制」という特例もあり、どちらか一方を選択して利用できます。
寄附金控除(ふるさと納税など)
国や地方公共団体、特定の法人などに寄附をした場合に受けられるのが寄附金控除です。その代表例が「ふるさと納税」です。
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附をすると、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税や住民税から控除される制度です。さらに、寄附先の自治体から返礼品を受け取れるメリットもあります。
会社員で寄附先が5自治体以内であれば「ワンストップ特例制度」を利用でき、確定申告は不要です。
しかし、6自治体以上に寄附した場合や、医療費控除など他の理由で確定申告を行う場合は、ふるさと納税の分も合わせて申告する必要があります。
生命保険料控除
生命保険や医療保険、個人年金保険などの保険料を支払っている場合に適用される控除です。
この控除は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類に分かれています。
それぞれ支払った保険料に応じて一定の金額が所得から控除され、3つの控除を合計して最大で12万円の所得控除が受けられます。
保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を申告時に添付する必要があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金
iDeCoは、私的年金制度の一つで、掛金を自身で運用しながら老後の資金を準備するものです。
iDeCoの最大のメリットは、その掛金の全額が所得控除の対象となる点です。これを「小規模企業共済等掛金控除」と呼びます。
例えば、毎月2万円(年間24万円)を拠出している場合、その24万円全額が課税所得から差し引かれます。
これにより、所得税と住民税が大幅に軽減されるため、非常に節税効果の高い制度として知られています。
還付金を最大限にするための税額控除
所得控除が所得から金額を差し引くのに対し、税額控除は算出された所得税額から直接金額を差し引く制度です。
税額から直接引かれるため、所得控除よりも節税効果が非常に大きいのが特徴です。確定申告で返ってくるお金を増やす上で、極めて重要な役割を果たします。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
税額控除の中で最も代表的で、影響が大きいのが住宅ローン控除です。
住宅ローンを利用してマイホームを購入または増改築した場合、年末のローン残高の一定割合が、所得税から直接控除されます。
控除期間は原則10年または13年で、所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税からも一部控除されます。
この控除を受けるためには、初年度に必ず確定申告が必要です。会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続きができます。
適用には、床面積や所得など、さまざまな要件があるため、事前に国税庁のウェブサイトなどで確認することが重要です。
配当控除
国内の法人から受け取る株式の配当金などがある場合、一定の金額を所得税額から差し引くことができる制度です。
これは、法人税が課された後の利益から配当が支払われるため、個人の所得税と二重に課税されるのを調整するためのものです。
配当所得を「総合課税」として確定申告することで、この控除の適用が受けられます。
ただし、NISA口座での配当金は非課税のため対象外であり、申告不要制度を選択した場合は適用できません。
還付金の計算方法とシミュレーション
還付金の計算は複雑に思えますが、基本的な流れを理解すれば、おおよその金額を把握できます。以下に簡単なステップを示します。
ステップ1:総所得金額の計算
まず、給与所得や事業所得など、1年間のすべての所得を合計して「総所得金額」を算出します。会社員の場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」がこれに該当します。
ステップ2:課税所得金額の計算
次に、総所得金額から、前述した医療費控除や生命保険料控除などの「所得控除」をすべて差し引きます。この結果が「課税所得金額」です。
ステップ3:所得税額の算出
課税所得金額に、所得に応じた税率を掛けて「所得税額」を算出します。所得税は累進課税のため、所得が多いほど税率も高くなります。
ステップ4:申告納税額の決定
算出した所得税額から、住宅ローン控除などの「税額控除」を直接差し引きます。これが最終的に納めるべき「申告納税額」となります。
ステップ5:還付金額の確定
最後に、源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」と、ステップ4で計算した「申告納税額」を比較します。
(源泉徴収税額)-(申告納税額)= 還付金額
源泉徴収税額の方が多ければ、その差額が還付されます。国税庁のウェブサイトには「確定申告書等作成コーナー」があり、数値を入力するだけで自動計算できるシミュレーション機能も利用できます。
還付申告の手続きと必要書類
還付金を受け取るための確定申告は「還付申告」と呼ばれます。通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)とは異なり、その年の翌年1月1日から5年間提出することが可能です。
申請方法
還付申告の提出方法は主に3つあります。
e-Tax(電子申告): 最も推奨される方法です。自宅のパソコンやスマートフォンから24時間いつでも申告できます。マイナンバーカードと対応する読み取り機器(またはスマートフォン)があれば、スムーズに手続きが完了します。
郵送: 作成した確定申告書を、管轄の税務署に郵送する方法です。信書として送る必要があるため、普通郵便ではなく「第一種郵便物」または「信書便物」として送付します。
税務署へ持参: 税務署の窓口に直接提出する方法です。開庁時間内に行く必要がありますが、不明な点を職員に質問できる場合があります。
必要書類
申告には以下の書類が必要です。事前に準備しておきましょう。
- 確定申告書: 国税庁のサイトで作成するか、税務署で入手します。
- 源泉徴収票: 勤務先から発行される原本が必要です。
- 本人確認書類: マイナンバーカード、または通知カードと運転免許証などの身元確認書類の組み合わせ。
- 各種控除の証明書類: 医療費の明細書、生命保険料控除証明書、寄附金の受領証、住宅ローンの残高証明書など、適用する控除に応じた書類。
- 還付金振込先の口座情報: 申告者本人名義の銀行口座情報が必要です。
還付金はいつもらえる?
還付金が振り込まれるまでの期間は、提出方法によって大きく異なります。
最も早いのはe-Taxで提出した場合で、申告からおおむね2〜3週間程度で指定の口座に振り込まれます。
一方、郵送や税務署の窓口で紙の申告書を提出した場合は、1ヶ月から1ヶ月半程度の時間がかかります。
特に、確定申告期間の終盤である3月上旬から中旬にかけては、税務署が非常に混雑するため、処理にさらに時間がかかる傾向があります。
還付申告は1月から提出できるため、少しでも早く還付金を受け取りたい場合は、必要書類が揃い次第、1月中や2月上旬などの早い時期にe-Taxで申告を済ませるのがおすすめです。
e-Taxで申告した場合、処理状況をe-Taxのサイト上で確認することも可能です。
まとめ
確定申告は、単なる義務ではなく、自身の税金を見直し、払い過ぎた分を取り戻すための権利です。
還付金を最大限にする鍵は、適用できる所得控除や税額控除を一つでも多く見つけ出し、漏れなく申告することにあります。
特に、医療費控除、ふるさと納税、iDeCo、そして住宅ローン控除は、多くの人が対象となり得る重要な制度です。
日頃から領収書や証明書類を整理しておくことで、申告時期に慌てることなく、スムーズに手続きを進めることができます。
計算が複雑に感じるかもしれませんが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、指示に従って入力するだけで申告書が完成します。
この記事を参考に、ご自身の状況を再確認し、確定申告で返ってくるお金をしっかりと受け取り、家計に役立ててください。
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